- はじめに
- 逢魔人紹介&導入フェイズ
- メインフェイズ:第1サイクル
- 第2サイクル
- 第3サイクル
- クライマックスフェイズ&エピローグ
逢魔人紹介
GM:では、インセイン『最後の願い』セッション開始します。よろしくお願いします。
PL一同:よろしくお願いします
GM:今回のシナリオでは『暗黒のヴィクトリア』というワールドセッティングを使用します。『暗黒のヴィクトリア』の舞台は19世紀末ごろ、つまりヴィクトリア朝時代のイギリスです。科学や工業が進歩し、文化が爛熟した裏側で、どん底の貧困が民衆を苦しめた時代でもあります。もっとも、事前の相談でPC1以外は上流階級であることが決まっているので、貧困とは無縁でしょう。そんなところで、今回のトレイラーはこちらです。
トレイラー
ダミアン・ホールズは、惨たらしい事故で我が子を亡くした。
一人前に育ち、恋人もいて、これからが楽しみだったのに。遺体は二目と見られぬほどの有様だった。
それから2年が経ったある朝、ダミアンは自らの書斎で息絶えているのを発見された。
その首は恐るべき力でくびり折られ、髪からは色が抜け落ち、顔にはくっきりと苦悶の表情が刻まれていた。
人間業によるものとは思えなかった。老いたといえど屈強な男の首を、しかも片手で絞め折るなどとは。
容疑者さえ割り出せないまま執り行われた葬儀の場で、さらにありえないことが起こった。
彼の子供が、そこに姿を見せたのだ。死んだはずの人物が……。
インセイン『最後の願い』
なにをさし出せば、運命を変えることができるのだろうか?
GM:なお、シナリオのリミットは3サイクルです。あとで改めて説明しますが、共演者NPCが登場してシーンを持つので、メインフェイズは全部で12シーンあることになります。それでは、みなさんのキャラクターを紹介してもらいましょう。
アリス・ミラー(PC1)
GM:それではハンドアウトの番号順に自己紹介をしていきましょうか。まずはPC1「アリス・ミラー」さんですね。
アリス:キャラメイク時のひらめきにより女探偵、それも男装の麗人という設定です。
GM:また奇妙な設定ですね。男装にはなにか理由が?
アリス:この男装の理由は、まず第一にアリスが少々風変わりな性格であること。それと、こういう格好をしていると、人に見くびられないというところですね。
GM:それはそれでいらぬ誤解を招きそうではありますが(笑)
アリス:いえいえ、衣装は伊達ではありませんよ。アリスはステッキを使った【武術】を会得していますし、何より類まれなる【幸運】が彼女を一角の人物にしているのです。……ダイス目が伴うかは別として!
GM:【幸運】が発動するといいよな……。
PL3:探偵としてはどうなのかな。助手とかいるの?
アリス:助手はいませんね。裏町の事務所で気楽にやってます。ただ、何かというと“ニヤッ”と笑う癖があるので、いささか胡散臭い感じです。ハンドアウトはこんな感じ。
アリス・ミラー(PC1)
【使命】あなたはダミアン・ホールズ怪死事件の調査を担当する人物だ。
あなたの【使命】は、事件の真相を究明することである。
アリス:ダミアン氏が死亡した時点で依頼を受けていて、調査を始めてるという流れでいきますんで、よろしくお願いします。
GM:わかりました。それでは、次にPC2「シャロン・ウィンザー」さん、お願いします。
シャロン・ウィンザー(PC2)
シャロン・ウィンザー
性別:女
年齢:17歳
職業:学生
特技:《驚き》《におい》《芸術》《数学》《教養》《地底》
好奇心:知覚分野
恐怖心:《憂い》
アビリティ:【基本攻撃】【戦場移動】【紳士淑女】【ダウジング】
アイテム:鎮痛剤×1、お守り×1
シャロン:シャロン・ウィンザー、画家ですわ!
GM:どんな絵を描くんですかね。
シャロン:日々、自分の勘とインスピレーションから生み出される素敵な作品を仕上げる事に努力する……つまり気分次第! 時々正気度下がるような作品を作ります。
GM:前衛芸術家っぽいなぁ……ところで、この【ダウジング】について説明していただきたいのですが。
シャロン:【ダウジング】と言いつつ、単に直感で色々と掘り当ててるだけです。何でそんな能力が身についているのか当人も理解していない。こう、反応があると髪の毛が引っ張られるような感覚を覚えるの。
アリス:シャロン・レーダーということですね。
シャロン:こんな私でも一応は【紳士淑女】の仲間だから、犯罪や奇行に走ったわけじゃないですからね?
GM:なるほど。そんなところで、ハンドアウトを見てみましょうか。
シャロン・ウィンザー(PC2)
【使命】あなたはハロルド・ホールズの恋人だった。
彼は2年前に事故死したはずだったが、父親であるダミアンの葬儀の日に、再びあなたの前に姿を現した。
こんなことが本当にありえるのだろうか? だが、あなたが見間違えるはずがない。
あなたの【使命】は、ハロルドとの関係を取り戻すことである。
GM:ハロルド・ホールズというのは、今回のゲスト(共演者NPC)で通称をハリーと言います。彼は20歳でシャロンより年上。そして、2人は親が決めた許嫁同士だったわけですが、関係はどういったものでしたかね。
シャロン:(コロコロ)……「忠誠」ですね。
GM:ラ、ランダムなのか……それじゃあこっちも、(コロコロ)……「憧憬」ですね。自由奔放なところに憧れがなくもなかったようです。
シャロン:ハリーに対して「忠誠」って事は、何か言われたらちゃんと守る感じだったのかな。
アリス:飼い犬かよ……。
GM:あー、【ダウジング】も犬っぽいですね。特技に《におい》があるし。
シャロン:犬系とは言えお嬢様だし、ハリーより家柄は上という設定にしてます。
GM:では、そんなところでPC3の自己紹介に移りましょうか。
エリオット・ウィンザー(PC3)
エリオット・ウィンザー
性別:男
年齢:15歳
職業:学生
特技:《刺す》《我慢》《第六感》《分析》《医学》《夢》
好奇心:知識分野
恐怖心:《悦び》
アビリティ:【基本攻撃】【戦場移動】【連撃】【尊い身分】
アイテム:鎮痛剤×1、武器×1
エリオット:エリオット・ウィンザーです。姉がいつもお世話になってます。
シャロン:「お世話されていますわ!」
エリオット:変わり者の姉とは正反対な真面目な秀才です。人体医学に関して妙に執着を持った結果、どんどん知識が蓄積され、簡単な手術くらいならできるようになりました。
GM:15歳で!?
シャロン:この家系、おかしな人しかいないね。
エリオット:高度な中二病と理解してください。
アリス:高度すぎる……そして、深刻な常識人不足だ……。
エリオット:性格としてはあんまり表情豊かじゃない、礼儀作法が先行して子供らしさに乏しい感じで考えております。ちなみに恐怖が《悦び》となっていますが……詳細は伏せる。
GM:伏せたら余計に怪しいよ!
エリオット:それはそれとして、ハンドアウトはこちら。
エリオット・ウィンザー(PC3)
【使命】あなたはシャロンの弟であり、ハロルド・ホールズとは友人だった。
彼は2年前に事故死したはずだったが、父親であるダミアンの葬儀の日に、再びあなたの前に姿を現した。
こんなことが本当にありえるのだろうか? だが、再開を喜ばないわけはない。
あなたの【使命】は、シャロンとハロルドの力となることである。
GM:PC3の立ち位置は本来「PC2とハロルド(ゲスト)の共通の友人だった」というものですが、PLの希望によってハンドアウトが「PC2の弟」に書き換えられています。
エリオット:姉は変わり者だとは思いますけど大事な存在ですし、尊敬もしていますから、力になりたいと思います。
アリス:なんかもう、2人が異常すぎて怖いよ!
エリオット:アリスさんは自分が異常じゃないとおっしゃる?
GM:アリスもだいぶアナーキーなはずなんだけどなぁ。
アリス:2人はサイコな方向でクレイジーだから……。
GM:愉快な仲間が揃ったところで、最後にハロルド・ホールズについて軽く触れておきます。
ハロルド・ホールズ(ゲスト)
【使命】あなたは2年前に事故死したはずだった人物である。
だが、あなたはこうして戻ってきた。くしくもその日は、あなたの父ダミアンの葬儀の日だった。
あなたの【使命】は、2年間の不在を埋め合わせることである。
GM:ハロルド・ホールズ。シャロンの許嫁でしたが、2年前に事故で死んだものと思われていましたが奇跡の生還しました。
アリス:生還しちゃ不味いでしょう……。どんな人なのかな。
GM:ウィンザー家と比べると家柄はやや落ちますが、社交的で優しい紳士です。アビリティは【目星】と【誘惑】。情弱になりたくない気持ちでいっぱいです。
エリオット:ゲスト無双が始まってしまうのか?
GM:ゲストの扱いですが、ゲストは毎サイクル頭に自分のシーンを持つことにします。実質的に第4のPCとして振る舞います。なので、それを加味して、【狂気】の山札の枚数もPC4人用の16枚になります。なお、ハリーは最初から【狂気】を1枚持っています。
シャロン:【異性への恐怖】とか引かれてたらどうしよう……。
GM:さぁ、どうでしょうね。それでは導入フェイズを始めましょう。
導入フェイズ
葬儀を終えて
GM:導入フェイズは全員登場です。静かな雨が降る秋のロンドン。皆さんがいるのはとある墓地です。灰色の空の下に整然と並ぶ墓石、その1つの前にはこれから死者を埋葬するための墓穴が空いており、傍らには棺が横たえてあります。皆さんは葬列者の1人として、その場に佇んでおります。
アリス:親族でもない私が葬儀に参列しているのは変だし、遠巻きに見る感じでもいいかな?
GM:わかりました。では、アリスは離れたところから見ているということで。
シャロン:私は前の方で俯いて沈黙してます。
GM:牧師は粛々と聖句を唱え、「アーメン」と祈りを捧げると葬列者たちが続きます。葬列者の祈りが捧げられた墓石には“ダミアン・ホールズ”と記されています。
アリス:沈痛な面持ちの人たちを、異様な雰囲気を纏った山高帽の男(もっとも、そう見えるだけだが)が見つめている。
GM:アリスは思い出す。彼の身に降りかかった謎を……。
ダミアンの死体は、彼が死んだ日の朝に書斎で発見された。死因は首の骨折である。ただし、彼の首は万力で締められたように握り折られていたのだ。尋常の死に様ではない。
最初に死体を見つけたのは、ダミアンの妻であるナンシーだ。ここからは後ろ姿しか見えないが、血色の悪い顔に、作ったような無表情を張りつけていることだろう。
彼女は犯人ではない。あのように首を折るのは女の力では困難だ。まして、彼女の不健康に細い腕では不可能と言えるだろう。
アリス:「おかしな話ですね……アーメン」 祈りの言葉を呟くと、私はお得意の笑み“ニヤッ”とした笑みを口元に浮かべます。
エリオット:しかし、首を「握り折られる」とは……滅多なことでは聞かないようなフレーズですね。
GM:墓穴の底に据えられた棺に、墓堀人が土を被せていきます。ロンドンの墓穴は浅く掘られますから、すぐに棺桶は見えなくなってしまいます。ところで、ダミアンの眠る墓の横には、隣り合ってもうひとつの墓石が建っています。石に刻まれた名は“ハロルド・ホールズ”、2年前に不幸な事故で若くして逝った、ダミアンの息子です。
エリオット:息子が死んだ2年後に夫が……奥さんの精神が心配だ。
GM:雨脚も少しずつ強くなっているようです。列席者たちはナンシーにお悔やみを告げてからそろそろと辞去しはじめます。
シャロン:ではハロルドの墓石をそっと触れてから、ナンシーさんにお悔やみを告げますかね。
GM(ナンシー):「ええ、ありがとう。さ、ずっといると冷えるわよ」 ナンシーは赤く泣きはらした目でシャロンに応えます。
シャロン:「そうね……ナンシーさんも」 ナンシーさんの腰に手を置き、去るよう促します。
GM:その時、アリスの横を通りすぎて、1人の男が墓地に入ってきました。帰ろうとしていた人たちは男の顔を見て凍りつきます。
エリオット:なんとはなしにそっちの方を見る。
アリス:んん?
GM(ハリー):「そんな……父さん……」 男は、2年前に死んだはずのハロルド・ホールズだったのです。
アリス:やっぱりかー。
GM:それでは恐怖判定いっておきますね。アリスはハリーの知り合いではないので、アリスだけ指定特技を別にしましょう(コロコロ)……アリスは《終末》で、他2人は(コロコロ)……《恥じらい》で恐怖判定してください。
アリス:《魔術》から目標値7(コロコロ)……8で成功だ。
シャロン:私は《におい》から6(コロコロ)……7で余裕の成功!
エリオット:《我慢》からだと7かな(コロコロ)……7! あっぶねぇ。
アリス:7ってわりと怖いよね。
GM:全員成功ですね。では、ハリーの言葉をかき消すように雨が強くなって……これで導入フェイズ終了しますが、今のうちに【居所】を交換したかったらしてもかまいません。
エリオット:【居所】ってやっぱり知ってたほうが良いの?
シャロン:【居所】を知られていると、メインフェイズ中2戦闘を仕掛けられる可能性があるね。といっても、戦闘を仕掛けられても、【居所】を知ってる人が助けにきてくれることもある。
エリオット:なるほど。戦闘するなら知らないといけないし、知られてると戦闘を仕掛けられる危険性があると。
相談の結果、PL全員が【居所】を交換することになりました。
GM:導入フェイズが終了したので、いくつかのハンドアウトを公開してメインフェイズにいきましょう。
ダミアン・ホールズ
【使命】故人。あなたはある朝、首を折られて絶命しているのを、妻によって発見された。
人間業とは思えない怪力によるもので、当然、女の手でできることではない。
あなたに【使命】はない。
ナンシー・ホールズ
【使命】あなたはある朝、ダミアンが異様な死を遂げているのを発見した。
そして彼の葬儀の日、死んだはずだったハロルド・ホールズが帰ってきたのだった。
あなたの【使命】は、悲しみから立ち直ることである。
ハロルドの墓
【概要】2年前に死んだハロルド(だと思われていた人物)とダミアンは、隣り合った墓に葬られている。
このハンドアウトを目標に「調査判定」を行うことで、墓を暴き遺体を確かめることができる。その際の指定特技は《埋葬》もしくは《地底》である。
ダミアンの墓
【概要】2年前に死んだハロルド(だと思われていた人物)とダミアンは、隣り合った墓に葬られている。
このハンドアウトを目標に「調査判定」を行うことで、墓を暴き遺体を確かめることができる。その際の指定特技は《埋葬》もしくは《地底》である。